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日出っ子ノート
  コミュニティスクール(地域運営学校)をご存知ですか? 保護者や地域住民が、”一定の権限や責任を持って“学校運営にかかわる「学校運営協議会」を設けた学校のことで、昨年度から文部科学省が普及に乗り出しています。
  昨年度、九州で初めて指定を受けた春日市3校(春日北中、春日北小、日の出小)では、学校での教育のあり方について保護者と地域、学校が意見を出し合い、さまざまな取り組みがされてきました。

 例えば日の出小の「日の出っ子ノート」。「家庭での勉強法や過ごし方を教えてほしい」との声に応え、家庭学習の目安などを保護者向けに紹介し、児童が記入した一日の反省や生活習慣点検表に保護者・担任が感想を書き込む、本格的な連絡帳です。通知表も変わりました。協議会の意見も取り入れた独自の評価項目や基準内容となっています。

地域の大人と共に学ぶ
  学校の授業や活動にも、地域の大人が参加します。日の出小では以前から修学旅行に同行する地域住民を募り、児童が案内するというユニークな取り組みをしてきました。専門知識や経験を持つ「サンライズティーチャー」が授業に招かれたり、夏休みなどに希望児童が集まる補習教室で指導するなど、「教えの現場」にも入り込んでいます。逆に地域の人も、児童生徒と一緒に授業を受ける「共学の授業」が今秋から始まりました。
  このように、春日北中校区3校が目指すコミュニティスクールとは、子どもと、家庭・地域社会が共に育つ”共育“の風土なのだそうです。春日市では今年度から新たに4校がコミュニティスクールに加わり、計5校で2学期制を導入しました。開校したばかりの白水小では、45分授業を40分にして全体の時数を増やし、英語の授業を小1年から週1回、高学年は週2回行うなどの積極的なカリキュラム改革も行っています。

学校の自立、地域の意欲
  コミュニティスクールを本来の意味で運営するには、「予算」まで踏み込む必要があります。通常、公立の小中学校の予算編成権などは教育委員会にありますが、春日市では、光熱費代も含めた一定の予算を各学校に割り当て後は自由に使ってもらい、「学校の自立」を促しました。
  一方、協議会も、「学校の運営方針などに意見し、承認する」「教職員の任用について、教育委員会に意見を述べる」などの権限、そして責任を持ちます。「口を出してもらう代わりに、責任も共有してもらう」。このスタンスに立つことで、保護者や地域にも、学校教育に対する「当事者意識」が生まれるわけです。
  ただ、協議会のメンバーには大きなプレッシャーがかかることも事実。校長の考えに流されたり方向性が見失われたりしないよう、協議会自体がしっかりした主体性を維持することも重要です。何より、地域住民らが自信を持って学校運営に取り組める資質と意欲を向上させられるよう、市教委では、定期的に研修会を開くなどして支援しています。
  コミュニティスクールを始めたり検討している学校は、全国でも出てきています。また、すでに行事や授業に地域住民が参加する活動も各地で増えています。こうした取り組みをきっかけに、私たち大人が、「自分たちで地域の子どもたちを育てていく」という意識が、さらに広がっていくのかもしれません。

もうひとつのキーワード「小学校英語」
  福岡県教育委員会によると、昨年度、1時間以上の英語活動を行った小学校は、県内で99.8%。全国平均の93.6%を上回っています。年間の平均実施時間も全国平均以上で、1・2年生が約9時間、3~5年生は14.5~15.4時間、最も多い6年生が16.7時間でした。
  内容は、歌やゲーム、簡単な英会話や発音の練習が中心で、学年が上がるにつれて文字に触れる活動も入ってくるようです。 ただ、現場の教員アンケートによると、「英語能力に対する不安」「教科書がなく、活動案や教材作成が難しい」「ALT等(留学生や英語に堪能な地域人材など)の確保が困難」といった課題もあるようです。
  小学校英語の必修化については今春、中央教育審議会が「高学年の週1回程度(年35時間)の実施を検討」としていましたが、伊吹文科相が「英語の前に日本語をしっかり」との方針も示し、今後どうなるのかは、まだ流動的のようです。

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日の出小の「ペットボトルによるイネづくり」活動では福岡教育大の教授らに指導してもらいます。